▽04/15 00:16

「俺はそんなに弱くないから」

まさに傷付いてますって顔してんのに、どうしてそんなに強がっちゃうんだろうね、カゲミツは。
肩を震わせて今にも泣きそうなくせに。
きっかけさえあれば本音が出せるかと思い、素直になれと掛けた言葉も一蹴されてしまった。

「素直になれなんて馬鹿げてる」

歯を食いしばった姿が痛々しい。
今にも崩れそうなところを、ギリギリ踏ん張っているんだっていうのがよくわかる。
でもそういう時こそ、誰かに寄り掛かってみるのが大事だ。
少々キツイ言い方だけど、良薬は口に苦しだ。

「そんなんだと誰も周りからいなくなるぞ」

それともお前はひとりで生きたいのか?
昔のお前だったらそこで虚勢を張っていたかもしれない。
でもタマキと出会い、人と関わることを知った今は違う。

「・・・ひとりで生きたいわけじゃない」

ゆらゆらと泳がせがら目線を下に落とし、壁についた手を軽く握った。
ポロリ、ポロリと強がりの外側が剥がれていく。

「辛いときは頼れ、迷惑なんて思わないから」

ズルズルとカゲミツの膝が床についた。
同時に小さく嗚咽するのが聞こえる。
一歩近付いて肩に触れた。
安心させるように、一定のリズムで壊れ物を扱うかのように優しく。

「俺が弱かったなら愛してくれたかな?」

ぐずりと鼻を鳴らしたカゲミツが自嘲気味に笑う。
タマキの前でこんな姿を見せていれば、振り向かないにしても放ってはおかないだろう。
でもそう出来ないのが、そんなことをしてもタマキを苦しめるとわかっているからだ。
タマキと結ばれることを望んでいるけれど、それ以上に幸せになって欲しいという健気な恋心だ。
だからこうして感情を無理に溜め込んでしまう。

(お前がこんな姿を見せるのは、俺だけで十分だ)


気づいて、お願い気づかないで
(タマキが気づかないように、両手を広げてカゲミツ包み込んだ)

by確かに恋だった様(強がってばかりな5題)


タイトルの気づいて「お願い気づかないで」もお題で、最後カゲミツの台詞にしようと始めたんですけど、あれ?←

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