尽八くんは部活も引退して、私たちは進学先もあっさり決まった組だからもう後は卒業までノンビリ出来る

進学先は同じではないけど、近い所なので遠距離恋愛は免れるから心底ホッとしてるのは尽八くんには内緒だ

「アオ」
「ん?どうしたの」
「今までゆっくり出来なかったからな。色々我慢させてきたと思う」
「全然!我慢なんてしてないよ」
「いや、そんな事はないだろう。ところで…アオは何かしたい事や行きたい所はないか?」
「え!…これ言っていいのかな?」
「遠慮なく言ってくれ!」

何故かドヤ顔の尽八くんが可愛い
何だかそう言ってくれるのならお願いしてみようかな

「制服デートがしたいな」
「制服デート?」
「うん、今しか出来ないことだし…憧れてたんだぁ」
「そうだな。図書館に行った時に食事した位でデートとかしてなかったな」
「あれも充分楽しかったけど王道的なデートっていいなぁって」
「そうか。よし、ならしようではないか!制服デート」

そんなこんなで隣町に新しく出来たらショッピングモールに行くことになった

校門を出たら、デート開始の合図かのように尽八くんから手を繋いでくれて
思わず尽八くんを見たらニッと笑うから私もつられて笑う

それにしても…やっぱり尽八くんはかっこいいから、どこに行っても注目されてる
電車でも違う学校の子がチラチラ見てるし…
やっぱり凄いや

電車を降りて少し歩けばすぐ目的地に着いて

同じ学生も沢山いるし、カップルも沢山いるし何だかわくわくしてきた

それにしても私の彼氏さんは本当にかっこいいなぁ
思わず見惚れてたら「何だ?見蕩れたか?」なんて聞いてくるから素直に頷けば、ちょっと顔を赤くして「そ、そうか!」と笑う

そんな所が他の子の時と違う顔で嬉しかったりするんだ

とりあえず中をグルッと1周回って
服も尽八くんに見立ててもらったりして
尽八くんおしゃれだから凄く的確にアドバイスくれるから流石だなぁと感心した
次のデートの時に着ていこうと思う

「次は何処へ行こうか?」
「ぷ、プリクラとか?」
「うむ!いいな!行こう」

尽八くんはとても乗り気で
写真慣れしてるから、凄く決まってる
ただでさえかっこいいのにずるい

「尽八くん!?」
「こういうのもいいだろう?」

記念だ、と耳元で囁かれて

後ろハグとかズルイ!!
さっきから尽八くんにはやられっぱなしだよ…

出来上がったプリクラの尽八くんは本当にキラキラしてて…アイドルかな?
私は隣にいていいのかと思ったけど
「アオはやっぱり可愛いな」
とプリクラを眺めながらニッコニコで言うからもう素直に喜ぼうと思った


その後、少し小腹が空いたから何か食べようってなって

甘いのがいいねって事で尽八くんはアイスで私はクレープを食べる事にした

歩き疲れた体に甘いのが染み渡る…

それにしても尽八くんのアイスも美味しそう
そんな事を思ってたら「ほら」ってスプーンを差し出されて
ちょっと戸惑ったら「食べたいんだろ?」って口元にスプーンを持ってこられて……
恥ずかしいけど、これも思い出になると思って尽八くんのアイスを食べた

これって、あーん≠ナすよね
尽八くんにあーんされた…!幸せ!
何だかもう今日はお花畑でいいやと開き直って私も尽八くんにクレープを差し出した

「いいのか?ありがとう」

とクレープを齧る尽八くん…
えっと…なんでそれだけでこんなにも絵になるの?

「尽八くん」
「ん?」
「写真撮っていいかな?」
「構わんぞ!」

カメラを向けたらポーズをとってくれたり、表情も色んな表情を向けてくれて…モデルさんかな?
アイス食べてる写真なだけでこんなにも絵になる人私、しらないよ

「アオ」
「ん?」
「こっちおいで」

呼ばれて隣に行けば「2人でも撮ろう」って言われて…
照れたけど一緒に撮った写メの自分はとても幸せそうで。うん、だって…

「幸せだなぁ」

って思わず声を漏らせば尽八くんはとても嬉しそうな顔をしてくれて…

「オレも幸せだよ。楽しいな」

って言ってくれたから、本当に今日お願いしてよかったって思ったんだ

「なぁアオ」
「なに?」
「今度は旅行に行かないか…?」
「へ?」
「卒業旅行」
「卒業旅行…?」
「ああ。ずっと考えていてな。勿論アオのご両親にも許可を得るつもりだ」

卒業旅行とか…行けると思ってなかったから嬉しい!!

「行きたい!絶対行きたい!」
「よし!今度、アオのご両親に許可を貰いに行こう。許可を得たら計画たてような」
「うん!」


帰りも手を繋いで帰って
他人から見たら別に特別なことは何もしていないデートかもしれないけど、私にとっては今日は特別でとても幸せで一生の思い出になるそんな日だと思う


家の前に着いてもうお別れの時間で

「寂しいな」
「そうだな…夜、電話するよ」
「いいの?」
「ああ、俺がアオの声が聞きたいだけだからな」

そんな事言って笑う尽八くんはどこまでもかっこよくて
無性にキスがしたくなって

でも尽八くんは私の家の前だし絶対にしてくれないから

だから私が尽八くんの手を引いてそのまま背伸びしてキスしたら、尽八くんは顔を真っ赤にして慌てるから…
そんな尽八くんを知ってるのは私だけだと思うと何とも言えない気持ちになる


「全く。アオには適わんよ」
って結局怒らないで許してくれるから本当に優しい

「ごめんね。でも私、幸せだよ」
「そ、そうか!ならいい」

オレも幸せだよ、と穏やかに笑う尽八くんはやっぱり世界一かっこよくて

そんな素敵な人が隣にいる私は世界一の幸せ者かもしれない


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