万物流転 | ナノ
8.そうなん5
翌日、いつものように早起きをしたものの、壁と床のなんとも心もとない感じに、私はしぶしぶトレーニングをするのを諦め、ざっとシャワーを浴びて髪の毛を整え黒のスキニーパンツと制服のシャツに着替えた。グリフィンドールカラーのネクタイをきゅっと締めて部屋に忘れ物がないことを確認し、私は食堂へ向かった。

ローブを右手に引っかけ、圧縮魔法のかかった軽いトランクを持って下りていくと、アーサーさんが難しい顔をして日刊予言者新聞を読んでいて、モリーさんはジニーとハーマイオニーに自分が娘の頃に作ったという『愛の妙薬』についてを話していて、くすくす笑っていた。

「あら、おはようレイリちゃん」
「「おはようございます、レイリ先輩/さん!」」

息をピッタリ合わせてハーマイオニーとジニーが言ったので、四人でクスクスと笑った。目玉焼きとベーコンの乗ったお皿を突いていると双子が下りてきて私の傍の空いている席に座った。それからぷんぷん怒っているロンと思い詰めた顔のハリーが来た。

ハリーが来ると、新聞から顔を上げたアーサーさんが彼を柱の影に連れて行きこそこそと二人で何かを話していた。三人で楽しく話していたモリーさんも、夫がハリーを連れて行ったのを見て心配そうな目付きになっていた。余計な詮索は無用と、私は最後のベーコンを口に含んだ。

キングス・クロス駅までは、魔法省の車が送迎してくれた。アーサーさんはまるでハリーを何かから守るようにしてずっと彼の傍を歩き、入り口の壁をくぐり抜けるまでずっときょろきょろと周りに目を配っていた。特急の適当な場所へ荷物を詰め込んでから、パーシー先輩に呼ばれて再び9と4分の3番線ホームへと降り立つ。

モリーさんは子供達全員と、ハーマイオニー、私(双子からのブーイングが聞こえた)最後にハリーにキスを送りぎゅっと抱きしめた。ほんのり照れくさそうなハリーは、それでも満面に笑みを浮かべた。

20130815
title by MH+
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