万物流転 | ナノ
26.よきせぬ6
スリザリンのやつらに代わって、次は嬉しそうなウッドが凄い早さでやってきた。彼が言うには、マクゴナガル先生からクィディッチ競技場の新規の許可が下りたそうだ。クィディッチ馬鹿はにこにこだ。

そのままの勢いで練習を始めようとするウッドを止めたのは、またしてもレイリ先輩で「チームの皆さん、朝食がまだの人もいるでしょう?」と可愛らしく微笑んだ。

隣りに立っていたハリーは、先輩のバスケットから顔を覗かせるマーマレード・トーストに目が釘付けである。フレッドとジョージは、まるでレイリ先輩にキスをするかのように突っ込むと自分より大っきい二人を支えられない先輩は、勢いよく三人一緒に芝生の上に倒れ込んだ。

ジョンソン先輩が、レイリ先輩の上にいるフレッドとジョージを足で退かし彼女を救出すると、僕のお腹が情けない音をたてた。その音を聞き取った先輩に「ロンくんもどうぞ」って微笑まれた。ひえー!顔が熱いよ!





でも、どうして今の僕がナメクジを吐くことになったかと言うと…それがもう、最悪なんだよ!ほんとに、後ちょっとだから、聞いてくれるよね?

練習は滞りなく進んで、昼前には終わった。一番に着替え終わって更衣室から出てきたハリーと大広間へ向かう途中に、あのマルフォイとまた遭遇しちゃったんだよ!ツイてないと思うだろう?

それに、もっと最悪なことに…朝、マルフォイがハーマイオニーに言いかけた言葉をいつもの口喧嘩の最中にぽろっと言いやがったんだ!僕はブチ切れて「マルフォイ、思い知れ!」と自分の杖が壊れてることなんて微塵も考えないで『ナメクジ食らえ!』って魔法を使っちゃったんだ…。

そこからはもう、察してくれる?
…思い出すだけで、またナメクジ吐きそうだよ。

その日の夜になって、ようやくナメクジの発作が治まった顔色の悪い僕を見てレイリ先輩がフルーツミックス味のキャンディーをくれた。その時に「修正力は恐ろしい」とか、ぶつぶつ呟いていたけど…。

もうアレを吐き出し過ぎて疲れた僕は、ハリーに肩を貸してもらいながら男子寮の階段を登った。明日の朝、先輩にはお礼を言うんだ!ぜったい!

20130812
title by MH+
[top]