万物流転 | ナノ
8.おうえん2
クラムからのお誘いに、沢山の本を背負いながら図書館へと来ていたハーマイオニーはひどくびっくりしていたわ。頭の回転の早い彼女も、クラムの言葉を聞き分けるのには、いつもの倍以上の時間を要していたことをここに明記しておくわね。

ハーマイオニーは、教科書と図書館の書籍にしか興味を示さないような飾り気のない女の子だったけど、前にあたしたちが大嫌いなドラコ・マルフォイに『歯呪い』をかけられてしまったことがあったのよね。

校医の先生に歯を治療してもらう時に、前歯を元より少し小さくしてもらったらしく、それ以降は自分に自信がついたとかで、少しは身なりに気を遣い出したの。

(まぁ、ロンもハリーも全くそのことに気付いていないみたいで『これだから男の子は…』とあたしは内心不服なのだけど)それの効果が今回のことに繋がったのかと、ちょっとだけわくわくする気持ちを押さえながら、あたしは、レイリ先輩を挟んで、お互いにぎこちなく会話しているのを見守っていた。

***

その翌日は、今度は私がロンと同じ学年のネビルに「ぼ、僕と、だ、ダンスパーティーに行ってくだたい!」とカミカミでお願いされたのだった。本当は、日頃からお世話になっているレイリ先輩や、宿題を手伝ってくれるハーマイオニーと行きたかったみたいだけど、その願いは叶わぬものとなった。

ネビルの話を聞く所によると、ネビルがちょうど一人でいたレイリ先輩を見つけ、彼女に今がダンスパーティーに誘う絶好のチャンスだと思って話しかけようとしたところに、笑顔のセドリックが駆け寄ってきたのを見たんだって。

それで、ネビルは先輩に声をかけるのを断念したらしい。それが二日前の出来事で、それから二人は、六階に上がって行ったのだという。

ハーマイオニーは、もうすでに昨日のうちにクラムから誘われてそれを了承していたので、ネビルは彼女とも行くことは出来なかった。そして、その場にちょうど居合わせたあたしが、ネビルのパートナーとなったのである。

ネビルのことは、おっちょこちょいだとは思うけれど、レイリ先輩は、ネビルのことを兄達みたいに授業での失敗談や物忘れ伝を茶化して語ったりすることは決してなく、むしろ彼の才能を認めていた。

「薬草学のことなら、ネビルに聞いた方がいいかもしれないわ。彼はまるで、歩く魔法植物図鑑のような人だもの!」とにっこり笑いながら言っていたから、あたしは、とても好意的に彼と先輩後輩関係を築いているわ。

私は、自分が三年生であり、この誘いを受けないとダンスパーティーへは参加できないと思ったので、ネビルの提案を快く引き受けたわ。けれど、それが誤った判断だとちょっとだけネビルと行くことを後悔したのは、それから何日か後のことだった。

談話室では、ハリーやセドリック達、代表選手がどんな女の子を連れてダンスパーティーへ行くのかというトピックスで六年生や七年生の女の先輩達の話は持ち切りだった。

私は、その時、セドリックのパートナーは絶対レイリと思っていたので、暖炉の前のソファーで項垂れるハリーとロン。そして、一等やつれたジョージの背中を横目に、哀れな男たちへ後ろからエールを送った。

どうやら嬉しそうな顔をしている同室の女の子達を見る限りでは、彼女達も先輩にダンスパーティーへのお誘いを受けたらしく、私は彼女たちと、女子寮へと続く階段を軽やかな足取りで登ったのだった。

パパに、ドレスをお願いしなくちゃ!とびっきりかわいいのがいいわ!ロンみたいな、ダサイ茶色のカビたものだったら、私は絶対嫌だからね。

20130914
title by MH+
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