44.はじまり4
「なんて嫌な奴らなの!」
「酷い。ゆるせない!」
「…どうしたの、アンジーもアリシアも。そんなに怒って」
「レイリには、あれが見えないの!?」アリシアが指をさす方向を辿って行けば、四・五年生のスリザリンの塊がいて、一人残らずローブの胸には大きなバッジを付けていた。
「お揃いみたいね。…でも、どうして?何を付けているの?」
「文字よ、レイリ。文字を見て…あなた目がいいからこの距離でも見えるでしょ?」
「…んー、私の目にはセドリックを応援しているようにしか、」
「見えないよ」と続けようとした時、スリザリンの集団の前をハリー達三人組が横切った。すると、赤い蛍光色に輝いていた『真のチャンピオン セドリック・ディゴリーを応援しよう!』のバッジの文字が、緑色の『汚いぞ、ポッター!』にすり変わった。
「気に入ったかい?ポッター」大声で言うマルフォイの声がこちらにも響いてきた。「あったまに来た!アンジー!レイリ!私たちも行くよ!」目を三角にしたアリシアは、ずんずんと中庭の方へ歩いていく。
「待ちなさい、アリシア!…ほら、レイリも行くのよ!」
「ちょ、ちょっと待って!監督生のバッジ、バッジ…あった」
いつもはなくすのがいやで制服の胸ポケットの中へしまっている『P』の文字が輝く監督生バッジをローブの目立つ位置に付けて、私は後を追った。私が到着した時にはハーマイオニーが蛇寮のパンジー・パーキンソンに向かって「あら、とっても面白いじゃない!」と皮肉たっぷりに言い返したところだった。
「ホントお洒落ね。嫌味で幼稚なあなたたちにお似合いよ!」
(…アリシア、火に油を注がないでよ)
アリシアがハーマイオニーの肩を持ってそう言えば、パーキンソンが「なによ、アンタ達!六年生は黙ってなさいよ!」とキーキー高い声で言い返す。さらに彼女の周りの女子生徒たちも「外野は引っ込んでなさいよ!」と言ってきた。
フーフーと息を荒げるアリシアと、怒りを堪えながら「腰抜けシーカーが」と底冷えするような低い声で恨み言を呟くアンジーを押さえるのに必死な私。何とかこの集団から二人を引き離すと「あなた達はここにいるの。いい?」と言い、しぶしぶ頷く二人を尻目に再び群れへ戻る。
「グレンジャー、一つあげようか?」
マルフォイが彼女にバッジを一つ、差し出した。「ハッフルパフにも分けてあげようと思って、たくさんあるんだ。だけど、僕の手に触らないでくれよ…穢れた血でベットリにされたくないんでね」嘲るような笑いが、スリザリンの塊の中で起こる。
厭らしい笑いに、カチンと来たが『私は監督生。私は監督生!』と心の中で叫び、理性を総動員させてマルフォイに殴り掛かりたい衝動を抑え込んだ。ざくざく草を踏みしめながら、彼らに近づくと、ハリーが杖を手にしており「やれよ、ポッター」とマルフォイもローブから杖を取り出してた。
一瞬、二人の目に火花が散ったかと思うと、それから全く同時に二人が動いた。ブンッと杖腕を振り回し、杖先から飛び出した光が空中でぶつかると、折れ曲がって跳ね返った。
ハリーが出した鼻呪いの呪文は、スリザリンのゴイルに直撃。そして、マルフォイの放った歯呪いの呪文がハーマイオニーへと降り掛かる!私は地を蹴って、彼女の前に飛び出してプレテゴを唱えたが、一足遅かった。にょきにょきと彼女の前歯が伸び始めた。
「この騒ぎは何事だ?」
「マルフォイとポッターが人体に向けて魔法を使用しました」
「ほう…ポッターが」
「スネイプ教授?…どうやら聞こえていらっしゃらないようなので、もう一度言いますが――ドラコ・マルフォイと、ポッターがそれぞれ、グレンジャーへ歯呪い。ゴイルへ鼻呪いを使用しました。私がこの目で見ました!」
今や顎の下まで歯が伸びたハーマイオニーと、醜い大きな吹き出物がボツボツと鼻に出来上がっているゴイルを指さしながら、私はスネイプ教授に説明をした。
「マルフォイ、ポッター!それぞれの寮から50点減点します!」
「監督生としての判断に何かおっしゃりたいことがあれば?」私が凄い剣幕で捲し立てると、スネイプ教授はそれ以上言及することなく「呪文を受けた生徒は医務室へ」と重々しそうに口を開いてたむろする生徒達を散り散りにさせたのであった。
20130905
title by MH+
*原作と流れが前後するのは、この物語がYMMクオリティーだからです
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「なんて嫌な奴らなの!」
「酷い。ゆるせない!」
「…どうしたの、アンジーもアリシアも。そんなに怒って」
「レイリには、あれが見えないの!?」アリシアが指をさす方向を辿って行けば、四・五年生のスリザリンの塊がいて、一人残らずローブの胸には大きなバッジを付けていた。
「お揃いみたいね。…でも、どうして?何を付けているの?」
「文字よ、レイリ。文字を見て…あなた目がいいからこの距離でも見えるでしょ?」
「…んー、私の目にはセドリックを応援しているようにしか、」
「見えないよ」と続けようとした時、スリザリンの集団の前をハリー達三人組が横切った。すると、赤い蛍光色に輝いていた『真のチャンピオン セドリック・ディゴリーを応援しよう!』のバッジの文字が、緑色の『汚いぞ、ポッター!』にすり変わった。
「気に入ったかい?ポッター」大声で言うマルフォイの声がこちらにも響いてきた。「あったまに来た!アンジー!レイリ!私たちも行くよ!」目を三角にしたアリシアは、ずんずんと中庭の方へ歩いていく。
「待ちなさい、アリシア!…ほら、レイリも行くのよ!」
「ちょ、ちょっと待って!監督生のバッジ、バッジ…あった」
いつもはなくすのがいやで制服の胸ポケットの中へしまっている『P』の文字が輝く監督生バッジをローブの目立つ位置に付けて、私は後を追った。私が到着した時にはハーマイオニーが蛇寮のパンジー・パーキンソンに向かって「あら、とっても面白いじゃない!」と皮肉たっぷりに言い返したところだった。
「ホントお洒落ね。嫌味で幼稚なあなたたちにお似合いよ!」
(…アリシア、火に油を注がないでよ)
アリシアがハーマイオニーの肩を持ってそう言えば、パーキンソンが「なによ、アンタ達!六年生は黙ってなさいよ!」とキーキー高い声で言い返す。さらに彼女の周りの女子生徒たちも「外野は引っ込んでなさいよ!」と言ってきた。
フーフーと息を荒げるアリシアと、怒りを堪えながら「腰抜けシーカーが」と底冷えするような低い声で恨み言を呟くアンジーを押さえるのに必死な私。何とかこの集団から二人を引き離すと「あなた達はここにいるの。いい?」と言い、しぶしぶ頷く二人を尻目に再び群れへ戻る。
「グレンジャー、一つあげようか?」
マルフォイが彼女にバッジを一つ、差し出した。「ハッフルパフにも分けてあげようと思って、たくさんあるんだ。だけど、僕の手に触らないでくれよ…穢れた血でベットリにされたくないんでね」嘲るような笑いが、スリザリンの塊の中で起こる。
厭らしい笑いに、カチンと来たが『私は監督生。私は監督生!』と心の中で叫び、理性を総動員させてマルフォイに殴り掛かりたい衝動を抑え込んだ。ざくざく草を踏みしめながら、彼らに近づくと、ハリーが杖を手にしており「やれよ、ポッター」とマルフォイもローブから杖を取り出してた。
一瞬、二人の目に火花が散ったかと思うと、それから全く同時に二人が動いた。ブンッと杖腕を振り回し、杖先から飛び出した光が空中でぶつかると、折れ曲がって跳ね返った。
ハリーが出した鼻呪いの呪文は、スリザリンのゴイルに直撃。そして、マルフォイの放った歯呪いの呪文がハーマイオニーへと降り掛かる!私は地を蹴って、彼女の前に飛び出してプレテゴを唱えたが、一足遅かった。にょきにょきと彼女の前歯が伸び始めた。
「この騒ぎは何事だ?」
「マルフォイとポッターが人体に向けて魔法を使用しました」
「ほう…ポッターが」
「スネイプ教授?…どうやら聞こえていらっしゃらないようなので、もう一度言いますが――ドラコ・マルフォイと、ポッターがそれぞれ、グレンジャーへ歯呪い。ゴイルへ鼻呪いを使用しました。私がこの目で見ました!」
今や顎の下まで歯が伸びたハーマイオニーと、醜い大きな吹き出物がボツボツと鼻に出来上がっているゴイルを指さしながら、私はスネイプ教授に説明をした。
「マルフォイ、ポッター!それぞれの寮から50点減点します!」
「監督生としての判断に何かおっしゃりたいことがあれば?」私が凄い剣幕で捲し立てると、スネイプ教授はそれ以上言及することなく「呪文を受けた生徒は医務室へ」と重々しそうに口を開いてたむろする生徒達を散り散りにさせたのであった。
20130905
title by MH+
*原作と流れが前後するのは、この物語がYMMクオリティーだからです
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