花は逞しく 7





木は根を這っているのだから、多少のことでは挫けないなんて。
意志が強いだなんて、誰が言っただろうか。





一番辛いのは、思い出していただけないこと。


一番恐ろしいのは、忘れられてしまうこと。


僕が一番に想うのは、お嬢様のことなのに。











僕は、逞しくなんかない。

お嬢様がいらっしゃらなければ、存在価値を見出だせない、そんな、ひ弱な白藤でございます。
素敵なお嬢様のお名前の字を頂いたのに、僕は…

それでも、こんな僕でも、お嬢様をお慕いしております。

だから、どうか、お願いです。







待てと仰るなら、いつまでもお待ちしております。



迎えにきてくださるのなら、いつまでも。



そのときにまた、今日の出来事をお話くださいませ。








あの庭の奥で、僕は―――


―――白藤は、お待ちしております。












(藤色が似合う、ある青年の想い出噺)






綴手:fmica





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