花は逞しく 6




「…ねえ、聞こえてる?」



「…今日でこの屋敷を出るの。ずっと来れなくてごめんなさい。」



「今年で私、十八でしょう?だからもう誰かと結ばれるなんて思っていなかったわ。」



「でも、私にも、こんな私でも受けとめてくれる方がいらしてね。その方のお嫁に行くの。」



「急なお話だったから、家の中が忙しなくって。それで、」



「それでね、明日式を挙げるの。とっても素敵な、英国製のドレスを繕ってくださって…」



「採寸も私にしか着られないものなのよ。すごいでしょう?私、本当に幸せ者だわ。」



「それもこれも、あなたのお陰だわ。本当に感謝しています。」


「あなたがいなかったら、きっと私、私の事好きになれなかった。ずっと性根が腐った、ただの雑草に成り果ててたわ。」



「――白藤、ありがとう。」














「誰と話してるんだい?」

「あ、えっと…」

「ははは。以前話をしてくれた、白藤くんのことかい?」

「ええ、そうよ。最後に話でも出来ればと思って来てみたんだけど…」

「彼に拗ねられたってことかな?」

「そうかも…どうしましょう」

「そう気を沈ませることはないよ。また時間をつくって来ればいいだけのことさ。」

「でも、いつ帰ってくるかわからないわ、だって、私あなたのご実家へ…」

「僕の実家である英国へ行くんだから、ね。大丈夫。これだってまだ息はしているんだし、何年か経って思い出した時に来ればいいのさ」

「そう…そうね。ありがとう。クリス、愛しているわ。」

「どういたしまして、藤乃。僕も愛してる。」














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テーマ「人外ファンタジー」
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