花は逞しく 3


お嬢様はこの国では珍しい、白群の瞳をお持ちでございました。
それはそれは綺麗なお色で、ひと目見るだけで引きこまれてしまいそうな、そんな瞳でした。

でも、ふとした時、お嬢様はその瞳に影をお映しになってから、そして仰るのです。
「私のお目は、ねねさまやお兄さまとは違う、おなかからでたからなのよ」、と。

僕にその本当の意味がわかるようになるのは、だいぶ先のことでした。





確かに、ねね様と兄上様、そしてご両親とは違う瞳でございました。
お嬢様以外の方々は、皆、黒檀のような瞳をお持ちでしたから。


「このお目がなければね、私にもいっぱい、兄さまやねねみたいにお友達がいたのにって、ねねさまが言うのよ」

(そんなことはありません。お嬢様はお嬢様であって、兄上様ではありませんから。ねね様の言われることを、お気になさることはないのです。)

「でもね、ねねさまは、とてもきれいなお目やお髪があるから、お父さまに色んなところへ連れて行ってもらえるんだわ」
私はいつも、お屋敷に置いてけぼりなの。そう、その白群の瞳いっぱいに涙を堪えておいででした。



そうして、お言葉を絶え絶えに言われるお嬢様のお姿が、僕は、僕の心は、苦しくて仕方ありませんでした。








この時、お嬢様はあの日から二つ歳を数えるようになっていました。









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