気がつけばいつだって、気が遠くなるほどだった。










視えない点と点を繋いで、今は小さな星をを紡ぐ。
いつしかそれは、きれいな光を瞬かせるものになる。
青や黄色、赤や紫。その星によって色も形も違う。輝くには年数をかけないとだけど。



僕の紡いだものは、これから生まれてくる者達のもとへと送られる。紡いだものが届いて、小さくでも光り出したら僕のシゴトは一旦終わり。あとはその瞬きが消えたとき、輝いていたそれを回収する。そこまでが、それが僕のシゴト。


あの方は僕にしかできないシゴトだと言ってくれた。
きれいなきれいな、光をまとった素敵なお方。僕たち全員に温かさをくれて、どんなときでもそばにいてくれる。恋愛とは違う、きっとこれは母親への愛に似ているもの。





でも皆口を揃えて言う。
「ヒトの命をつくって奪う、こわいこわい死神さん」って。





ヒトの寿命と死因は決められている。
僕が決めたくて決めているわけではない。
ただ知らないうちに、頭のなかに入ってきた情報を元にしてシゴトを行う。
そう、ただそれだけのことなんだ。



点はヒトの寿命と死因。
紡ぐものはヒトの命。
僕は死神なんかじゃない。僕はただ、ただ...





『星々の瞬きを、輝きを、それを紡いでいるだけなんだ』
今日もこころの言葉は、僕の喉の上の方で詰まって、止まって、終わるんだ。







僕がすることはいつも一緒。命を紡ぐシゴトをして、その日のぶんのシゴトが終わったら眠りにつく。今日も今日のぶんの仕事が終わって瞼を閉じた、けど。寝るに寝れなかった。僕のだいすきな、夜空のシーツに体を縮こませて、不意に目から涙が流れた。止まることを知らない涙は、シーツにシミをつくっていく。



「あの方のようになれたら」


「もし僕も、凛とした者になれたら」



いつだって僕は泣き虫で、弱虫なんだ。誰にもできないことだって、そう誇らしく、周りに意見が言えない。それでも、こんな僕でも、年数を増す毎にきれいに輝く星々をみることだけが、僕にとっての救いで、誇りなんだ。



そう思いながら目を、今度は強く瞑った。
涙はまだ止まりそうもない。








(破れそうな沈黙を縫い続けて)




綴手:fmica



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