ごーお



「え、でも父さん居るなら俺別にいらなくね?よし帰ろう!」

「それが先代の魔王は120年前の勇者との戦いで力を失ってしまったのです・・・」

「ちなみに今は海の近くの別館で療養中だが、会おうと思えば会うこともできるぞ。今すぐとは言わないが」


マント君とムッツリの話を聞きながらふんふんと頷いていると、タキシードが一つ咳払いをした。

なんだなんだ。


「そろそろ魔王様のお力を解放しては如何ですか?」


・・・・あ、そういえば力の解放がどうのこうのって言ってたよな。んでも力の解放って具体的に何すんの?


「それを今から説明する」

「また心読んだ・・・」



プライバシーもクソも有ったもんじゃないよね!



「で、力の解放って?」

「なに、簡単なことですよ。今から私たちが一人ずつ呪文を唱えますので、唱えおわった者から順に口付けをしてください」

「へー簡単だね。・・・・口付け?は?」



余りにもナチュラルに言っちゃうもんだからついついスルーしそうになっちゃったけど、え?キス?

え、え、俺男とキスすんの?まじで?


「心の底から拒否する!!ていうか何でキスしなきゃいけないわけ!?他に方法ないの?」

「ざ、残念ながら他に方法はありません・・・」

「魔王様の魔力は側近である俺らの体ん中で眠ってるんすよ!すげーっしょ!?」

「それを口から直接受け渡す訳ですが・・・何なら壱夜様のお尻の穴から注いであげましょうか?」


タキシード仮面の恐ろしい一言に身体中の血液が下がっていくのを感じる。
いくらチェリーボーイな俺だってどういう意味かくらい分かるんだぜ!



「さぁ、魔王よ。決断せよ」


ムッツリが腕を組んだまま俺を見つめてきたので、俺もムッツリの目を見つめようと思ったけど何となく嫌だったからマント君の頬の鱗を見ながらポツリと呟いた。



「・・・キスします」



ああ、ファーストキスが男だなんて!何て哀れな男なんだろうか!!




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