よーん



「え、結局何?どゆこと?俺全く理解出来てないんですけど!?俺が120年前に生まれたとか、先代の魔王とか勇者とか人間界とか、魔族としての力の解放とか・・・何!?」


余りの展開の速さに着いていけず頭を押さえて混乱する俺。

ウンウンと唸りながらしゃがみ込んでいると、紺色の長いフード付きマントを羽織った男が声をかけてきた。


「お、落ち着いてください魔王様・・・。とりあえず一つ一つゆっくりと理解していきましょう」


ね?

と言いながら首を傾げるマント君はどこからどう見ても天使でした。
決して頬っぺたに鱗がびっしり付いていようがやけに肌が緑っぽく見えようが、俺にとってマント君は天使だ!初めましてスウィートマイエンジェル!

漸く普通の人(?)に出会えた喜びからついマント君に抱き付いてしまう。



「ままままま魔王様!?」

「マント君は俺の天使だよー!スウィートエンジェルだよー!何だかマント君の体がしっとりしてるって言うか全体的に濡れてるけどそんなの全然気になんないくらい天使!」


ひとしきりマント君の湿った体に顔をすり寄せてから、マント君の顔が真っ赤に見えなくもない色になってきたのを境に体を離した。

さて、本題に入ろうか!



「えー、じゃあまず最初に聞きたいんだけど、120年前ってどういうこと?俺まだ17歳のはずなんですが」

「え、あ、えっと、人間界とこちらの世界では時間の経過が違うんです・・・。どのくらい差があるのかは詳しく分からないのですが、人間界の時間の経過はこちらに比べて遅いようですね」

「へ〜・・・」


マント君の言葉にまるでどっかの漫画みたいな設定だなーなんて思いつつ、俺は次の質問へと移った。

この質問は物凄く大事なことで、正直聞くのが怖いです。でも聞かないと!



「あのさ、俺は先代の魔王の子供なんだよね」

「は、はい。そうですが・・・」

「じゃあその、人間界とやらで俺を育ててくれてたのって・・・誰なの?」


実は俺が一番聞きたかったのはそのことだったり。
だって17年間ずっと本当の両親だと思ってたんだよ?いっぱい喧嘩もしたし、楽しいこともあった。そんな両親が本当の親じゃなかったのだとしても、俺が過ごした17年間は変わらないからいいんだけどさ。

誰なのかくらい聞きたいじゃん?



「ああ、そのことでしたらご安心を。人間界に居た魔王様のご両親は紛れもなく貴方様の産みの親、ですから、先代の魔王様とその妻でございます・・・」

「・・・は?」

「とは言いましても本体ではなく、先代の魔王様の髪の毛から創られたクローンといったところですが・・・」


え、え、え、じゃあそれってつまり、人間界の両親もと先代の魔王って同一人物ってこと?

・・・。

何でだろう、素直に良かったと喜べない。
改めて「お前の父ちゃん魔王なんだぜ!」って顔面に叩きつけられた気分。


父さん魔王だったんだ・・・。




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