放っておいてよ!





捻った足首をスラックスの裾でソッと隠しながら、ちらりとボサボサ君の顔を覗き見る。
ボサボサ君は分厚い眼鏡の奥から心配そうな瞳を向けて、俺の表情を伺っていた。

・・・な、何だか申し訳ない気分になってくるようっ!


「あの、ホントに平気だから!授業始まっちゃうし・・・」

「怪我してる人を置いて行けるかよ!・・・あ、そうだ。隆俊、こいつを保健室まで連れていってくれない?」

「・・・おー」



ボサボサ君の言葉で黙っていた不良君が動きだし、床に座り込んでいた俺に近付き脇に手を入れてきた。

ちょ、何この状況!


そのまま不良君は脇に入れてきた手に力をいれ、軽々と持ち上げて肩に担ぎあげた。



「え、えええ・・・!?」

「耳元で叫ぶな・・・」



不良君の肩に担ぎ上げられ戸惑っていると、ボサボサ君が申し訳なさそうな顔で俺を見つめてくる。


「ごめんな、俺今から行かないといけないんだ・・・。代わりに隆俊に着いてて貰うから、ほんとごめんな!」

「え、あ、お構い無く・・・」



ボサボサ君の言葉にボンヤリと返事をすると、ボサボサ君はにこりと笑って爽やか君と共に颯爽と去っていった。

ていうか結局怪我人を置いて行くんじゃん!


そんなツッコミを心の中で押し殺していると、不意に視界が回転した。
と思うと、ゆらゆらと視界が揺れながら前方へと進みだす。



「わわっ!ど、どこ行くんですか!」

「保健室」




無愛想に言う不良君に小さくため息を吐きながら、俺は思った。




・・・放っておいてよ!!




と。





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