思わぬ出来事
「やばいっ、次の授業遅れるかも・・・!」
授業終了から開始までの十分間。移動教室のため指定された場所に向かっている途中、忘れ物をしたことに気が付いて慌てて取りにいったのはいいんだけど、次の授業に間に合いそうになく走っていた時のこと。
次の授業の先生は遅刻とかに無駄に厳しく、遅れるのだけは勘弁したい。
パタパタと音をたてながら人通りの少ない廊下を走っていると、何でかは知らないけど何もないとこでつまずいて倒けてしまった。
・・・なにこれ恥ずかしい!
慌てて身を起こそうとするも、左足に鋭い痛みが走る。
こんなときに限って捻挫かよ!
誰にも聞こえないくらいの小さなため息を吐いて、これからどうしようと考えていると、突然後ろから声をかけられた。
「おいっ!大丈夫か!?すっげぇ倒け方だったなあ」
「え・・・っ」
咄嗟に後ろを振り向くと、黒いボサボサの髪にビン底眼鏡をかけた少年と、学園でも人気者の不良君と爽やか君が立っていた。
ボサボサ君はたしか最近転校してきた・・・名前は分かんないや、
・・・ていうか倒けたとこ見られちゃったの!?
「えと、俺は大丈夫なんで・・・」
「本当か?・・・あっ!!お前左足腫れてるぞ!?」
「え?・・・っひぁ、!」
ボサボサ君は何を思ったか、俺の左足に触りやがった・・・!
突然のことに驚いたのもあるが、左足に走る鋭い快感に、俺は情けない声をあげた。それを聞いたボサボサ君は、慌てて自身の右手を引いた。
「わ、悪い!痛かったよな・・・」
「え、あ、ううん!平気!」
・・・全然平気じゃないけどね!
◎