誰にも言えない秘密
俺、大和あきらには、誰にも言えない秘密がある。
両親も、親友も、誰も知らない俺だけの秘密。
その秘密とは・・・・・、俺の体が何処を触られても反応する、
全身性感帯だということ。
触るな危険
その症状が出始めたのは、中ニの秋。丁度体育祭が終わった頃。
いつものように友人とじゃれあって、10分間の短い休憩時間を過ごしている時だった。
友人がふざけて俺の首元をくすぐった時、全身に電気が走ったような痺れが起きたのだ。
それが、全ての始まり。
それからというもの、俺は何処を触られても馬鹿みたいに反応するようになった。
顔でも、耳でも、足でも、腕でも。何処も彼処も甘い痺れを放ち、俺はそのことを誰にも言えないまま、体の内に溜まる熱に悩まされていた。
ただ一つ、俺としては非常に助かることがあって。
それは服の上からでは触られても感じないこと。それだけが俺の救いだった。
そんな異常な体質に悩まされるようになってから月日が流れ、俺は今、高校生となった。
山奥にひっそりと佇む全寮制の男子校。
何でこの学校にしたかというと、これ以上家に居たら体質のことがばれてしまいそうだったから。
いっそのことバレてしまった方がいいのかもしれないが、思春期真っ盛りの俺としては、何としてでも避けたいことであって・・・・。
簡単な話、逃げたのだ。
いつまでも黙ったままで居られるとは思わない。それでも俺は、せめて高校生の間だけは秘密にしておきたかった。
それなのに・・・・・、
まさか、まさかあんな目に合うなんて、あのときの俺は思いもしなかった。
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