くらすめいととはなせ!





同室者の木薮君という強力な助っ人ができた俺ですが、昨日はいきなり気絶しちゃったみたいで朝っぱらから木薮君にお説教されました。
気絶するなら最初に言え!とか、何でお前の悲鳴は女みたいなんだ!とか、気絶してるくせに俺に触られる度に呻き声をあげるな!だとかいっぱい言われたんだよー。

まぁ5メートルくらい離れてたんだけどね!


とにかくその木薮君からミッションを下されたわけです。
[クラスメイトと話せ]って。

木薮君とはクラスが違うし、学校内であんまり接近すると親衛隊に目を付けられかねないから、クラスの手頃な奴と話せとのこと。


・・・・何か木薮君ってすごいいい人じゃない?あれで美形じゃなかったら絶対良い友達になれたと思うんだけどなー。

とにかく!
こんなに協力してくれる木薮君の為にも、俺頑張れ!



とりあえず隣の席の人に話しかけよう。
よく考えたら俺隣の人と喋ったことないし、ていうか顔も知らないし。

いやだって美形だらけの教室に居ること自体奇跡なのに、周りに意識を向けることなんて出来ないんだもん!



「お、おはよう!」



意を決して隣の人に挨拶をすると、隣の人は持っていた雑誌から目を離し俺の方へ顔を向けた。



「!!!!」
「おはよ」


キラリと白い歯を見せて笑ったソイツは、何ともまぁ爽やかな男前でした。

いい、今までこんなイケメンと隣の席だったなんて・・・!
あー、気付かなかったらよかった!最悪!アリエナイ!


ぞわっ、と立ち上がった鳥肌をごしごしと擦っていると、爽やか君は小麦色の肌をうっすらと赤く染めながら、嬉しそうに話しかけてきた。



「初めて俺の顔見てくれたな!」
「・・・え?」
「今まで何回か話しかけたり挨拶してたんだけど、山田ってばいつも思い詰めたような顔して俺の方見なかったからさ・・・、返事も適当だったし」


俺嫌われてんのかと思った、
そう言ってまたも真っ白な歯をキラリと光らせながら笑う爽やか君に、俺は何とも申しわけない気持ちになった。

・・・爽やか君はきっと凄く優しい人。

それなのに顔が整っているというだけで鳥肌を立たせ、さらには泣きそうになっている俺。




最低だ。



今日ほど美形恐怖症を不快に思った日はないかもしれない。




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