同室者との距離があと一メートルという所まで来たとき、もう俺の体と心は限界だったようで。
「や、来ないで・・・っう、ええぇぇっ」
へにゃりと腰が抜けたように床に座り込むと、俺はみっともなく声を上げて鳴き始めてしまった。
と、止めようと思っても止まらないんだよ!仕方ないんだからな!
そんな俺の様子を見て同室者は唖然とした表情で、ピタリと歩みを止めた。
それでも俺の恐怖はまだ続いてるわけで。
「うえ、も、やだぁ・・!何で来るんだよぉ・・・ふ、うぅっ、美形怖いんだよぉ・・・・こっち来んなよぉ!元を正せばお前が二ヶ月も経ってるのに同室者の顔覚えてないからいけないんだよお!ばか!あほ!イケメン!!うえぇぇ・・・っ」
ぐずぐずと鼻を鳴らし、混乱気味の俺を見て同室者は気まずげに頬をかいた。
そしてまた一歩近寄って、ぽすりと俺の頭を・・・あ、あたま・・!!あたまを・・・!
「な、何か悪かったな。同室者だとは知らなくてよぉ、泣き止」
「き・・・・・」
「き?」
「きゃぁぁぁああああああああ!!!」
あれ、この感じさっきも体験した・・・。
混乱する頭の片隅でそんなことをボンヤリと思いながら、俺は頬を叩く乾いた音を耳にしていた。
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