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「や、やっぱ平凡くんがマナちゃんなの・・・・・?」
「・・・・・・」


書記男がゴクリと生唾を飲みながら聞いてくるんだけど、答えられるはずがないよね。普通に考えて頷くわけないよね。

黙ったままの俺に会長がフンッと思いきり鼻を鳴らした。


「ハッ、こいつがマナとかいう女に見えるか?仮にこいつが女装したところで冴えない女装が趣味の変態野郎にしかなんねーよ。大方マナに憧れてマネしたオタクだろ」


あれ、かっちーん。
ちょっと皆さん聞きましたか今の台詞。どうせ俺が女装したところで冴えない女装が趣味の変態野郎にしかならないらしいですよっへー。そうなんだっへー。

さすがの俺も会長の台詞にはぷっちんきたね。これはもはや某プリンに負けず劣らずのぷっちん具合だね。こうなった俺は誰にも止められないつもりだよ。


「ただの女装が趣味の変態野郎、ね。その台詞後悔させてあげるから」
「あ?それどういう・・・・」
「って、学!何服脱いでるんだよ!!」


わたわたと慌てる王道くんを尻目に、もくもくと服を脱ぎ始める俺。別に他人に肌を晒して興奮する趣味はないからね。女装趣味の露出狂とかもうどうしようもないからね。

とにかくさ、女装家にもプライドがあるってのを会長の顔面に叩きつけたいわけ。
俺がマナちゃんだとしても、まあその時はその時に考えればいいってことよ。


「今から起こることはマジックでも何でもありません。目を凝らしてよーく見ていてください」


訳がわからん、といった顔の連中をほったらかして、クローゼットの中からコルセットを引きずりだす。やっぱり女の子といえば腰のくびれ重要じゃん。これをするかしないかで話が大きく変わってくるわけ。

最初は一人でできなかったけど、練習を積み重ねて今じゃ一人でも簡単に付けることができる。
内臓が潰れそうなくらいの圧迫感に顔を歪めながらも、何の服を着ようかと頭を悩ませる。
あ、そうだ。


「ちょっとそこの書記男くん」
「・・・・・・・えっ、俺!?」
「そう、きみ」
「俺会計なんだけど・・・・・」
「あ、そう。まあどっちでもいいんだけど、マナちゃんのコスプレの中で何が一番好き?」


ブログでもたまに衣装に悩むとコメントでアンケートをとったりするわけよ。今マナちゃんのファンが近くにいるからちょうどよかったね。

ていうか書記じゃなかった。




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