鬼いちゃん!




三人と別れたあと、俺はフラフラしながら自転車で家まで帰っていた。

うーん、何気に遠いなぁ。


ていうかやけに視線を感じるんだけど・・・何で?もしかして「高校生にもなってチャリふらふらとかマジだせぇ」みたいなそういう感じ!?
そうだったら凄い傷付くんですけど!


「唯!?」
「うへあっ?!」


ぼーっとしながらチャリ漕いでたらいきなり名前呼ばれて思わず転けそうになった。

あ、危ない・・・!

なけなしの反射神経で何とかブレーキをかけて、声の聞こえた方に顔を向けてみる。


「あ、塁にい」


そこには真っ黒なストレートな髪を軽く立たせ、ノンフレームの眼鏡をかけたイケメンが居た。
・・・まぁ俺の兄ちゃんなんだけどね。


俺と全く似てない容姿をした塁にいは、ずんずんと大股で俺の方に迫ってくる。
ちょ、お友達さん放置でいいんですかー!?ていうか眉間にシワ寄ってて怖いんですけどー!!


「唯!!」
「はひっ」


塁にいに名前を呼ばれて思わず背筋を伸ばす。だって何か怖いんだもん!

びくびくと怯える俺を知ってか知らずか、塁にいはぐわしっ!と俺の頭を鷲掴んだ。


「何だこのふざけた頭は!」
「え、ええぇ・・・!いつも通りの天パじゃん!」
「ああ!?俺の知ってる弟にはこんな奇妙なもん付いてねぇんだよ!」
「奇妙なもん?」


塁にいに鷲掴みにされた頭に恐る恐る手をやった。ら

ふわわんっ



「・・・ふわわん?」


指先に当たった柔らかい毛みたいなもの。慌ててその物体を掴めば、それは三角の形をしてて・・・!?


「る、塁にい!何か生えた!!!」
「・・・お前ほんと頭悪いのな」



・・・何その呆れ顔!傷付くんですけど!




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