何という無茶ぶり




「おし、じゃあお前自己紹介しろよ」


教卓の前に割と丁寧に俺を降ろした先生は、形のいい薄い唇をニヤリと歪めてそう言った。

・・・・え?


ちょちょちょ!待て待て待て待て!!今この瞬間の空気考えてよ!すっごい静まりかえってるよ!?それなのに自己紹介とか・・・

何という無茶ぶり!


「さっさとしろ!」
「いてっ」

・・・叩かなくてもいいじゃないっ!



叩かれた額を片手で擦りながらも、俺はクラスの人たちの方へ視線を向ける。

ううっ、視線が痛い・・・。

ジリジリと刺さるような視線に耐えつつ、俺はゆっくりと口を開いた。



「えと、鈴木唯です!不良でも何でもない俺ですが、足遅いしお金ないからパシリには向いてないと思います・・・!えー・・、適度に仲良くしてくれると嬉しい、な?」

にこ、とぎこちなくも微笑めば、教室内の静けさはほんの少しだけ和らいだ気がする。

「唯、ねぇ。やけに可愛い名前してんじゃねぇか、あ?」
「そういう先生は勇ましいお名前ですよね・・・」
「言ってくれるなぁ、唯ちゃんよぉ」


ニヤニヤと笑いながら肩を抱いてくる先生は街中に居るチンピラにしか見えません。まじで。

だいたい室内でサングラスかける意味ってあるの?


「ん、じゃあもう行っていいぞ」
「ええ・・・」
「あ?何か文句あんのかよ」
「いえいえ、とんでもない」



・・・自分勝手な男っていや!



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