キラキラと目を輝かせる凌空の言いたいことは大体分かる。どうせチョコをくれとかそんなモンだろ。
つっても俺はチョコなんて持ってねぇし、持っていたとしてもコイツにはあげたくねぇな・・・。

「あ。机に積み重なってるやつ一個持っていけば?いやでもさすがにそれは可哀想か」
「そんなの俺可哀想すぎるだろー!」
「いや、チョコくれた人が」

ええ!?と叫ぶ凌空は結構ガチで傷付いてるようで耐えきれずにくつりと喉を震わせる。
・・・たしかポケットん中に何かあった、はず。

あ、あった。


「ほら、凌空」
「え?あ、わっ!」

無造作に投げ渡したそれを凌空は慌てながらもキャッチし、一重の大きな瞳をぱちくりと瞬かせながら俺を見つめた。

「え、え、えええ・・・?」
「ふはっ、驚きすぎじゃね?チョコじゃねぇけど、それで我慢しろよ」

くつくつと喉を震わせると、凌空は一瞬で顔を真っ赤にさせて俺に飛びついてきた。が、俺はそれをサッと交わして教室から足を踏み出した。

まだSHRには早いし、購買で袋が売ってあったはずだからそれを買いに行こう。さすがに通学鞄だけじゃあれだけの量のチョコは入んねぇよ。


教室を出てから数歩歩いたところで、凌空の情けない声が聞こえてきた。



「・・・のど飴かよ!!!」




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