「あー・・・、すっかり遅くなっちまったなぁ・・・。」
転校生等と別れた後図書室へと向かった俺は、ついつい時間を忘れて読書に熱中してしまい、こんな時間になってしまったわけだ。
窓の外はすっかり真っ暗だし、いくら春だからと言ってまだ四月の終盤。夜になれば寒いんだよなァ。
ぶるりと震える体を両腕で抱き、寮への帰路を小走りで急いだ。
「・・・あ?」
帰り道の途中で寮内にあるスーパーで夕飯の材料を買い、ビニール袋片手に自室へと向かったところ俺の部屋の前で誰かが立っていることに気付く。
特待生で一人部屋な俺には、もちろん同室者なんて居るはずがなく。
もしかして親衛隊の奴らか?なんて思っていたが、俺はあの無駄にでけぇ身長と派手な金髪に、残念ながら覚えがあったのだ・・・。
「不知火・・・」
「・・・」
俺の部屋の前で立っていた奴は、転校生信者の一員で今日俺が泣かした、あの不知火太雅だった。
prev next
◎