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俺の腕を掴んだのは、意外にも人間不信で有名なあの書記さんだった。

うーん、予想外。




「俺、図書室行きたいんすよ。手ェ離してくれます?」
「・・・」
「・・・」
「・・・」





ちょ、何なんだよ。
手ェ掴んだんだったら責任取って、何とか言えっつー話だよな。

何の感情もねぇみてぇな顔しやがって何考えてっか分かんねぇし、マジだりぃ。一応センパイだし、手荒いマネはしたくねぇな・・・。




「何とか言ってくんねぇと何も分かんねぇっすよ。後五秒以内に話すか手ェ離さないと、俺のアイアン・クローが炸裂するぜ?」
「・・・っ」
「はーい、ごぉ、よん、さん、にぃ、いち。ターイムオーバー。さぁ覚悟はいいか?いいな?言っておくが、左手だろうと威力は変わんねぇっすよ」




左手をワキワキと動かしながらそう言うと、書記サンの俺を掴む手が、ギュッと強まった。

かと思えば、力を失ったかのようにスルリと離れていった。



・・・拍子抜けもいいとこだ。





「まァ賢明な判断っすよ、書記サン」
「・・・と、ご」
「は?」




ヒラヒラと手を振って書記サンの横を通り過ぎようとしたら、低く擦れた声が聞こえた。

途切れ途切れで聞き取りにくいソレ。俺はもう一度きちんと聞き取ってやろうと、書記サンの目を見つめた。





「し、もづか・・・とう、ご」
「・・・あ?」
「と、うご・・・」







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