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「ゆ、悠介・・・」




狂ったように笑い続ける俺に、転校生が恐る恐る話し掛ける。

その声に俺は笑うのをピタリと止め、冷えきった瞳で転校生の姿を捕えた。



こいつときちんと視線を交えたのは、これが初めてかもしれない。





「ゆうす―

「黙れ」





もう一度名前を呼ぼうとした転校生を、睨み付けながら制する。

それだけで転校生は、情けなく肩を跳ねさせた。




「前から思っていたんだが、何で俺の名前を勝手に呼んでんの?」
「え?だ、だって・・・俺たち友達、だろ?」
「はぁ?何言ってんの。俺お前なんかと友達になった覚えねぇんだけど」
「っ!」




蔑むようにそう言うと、分厚いレンズの奥で転校生の瞳が揺れるのを、見た。




「何か勘違いしてるみてぇだから言うけどさ。俺お前のこと大ッ嫌いなんだよね。あ、お前だけじゃねぇよ?そこでボーっと立ってる生徒会の奴らも、その生徒会を敬ってる親衛隊の奴らも、吐き気がするほど大嫌いなわけ。前はそれほどじゃなかったぜ?好きとか嫌い以前に興味なかったし、関わりもなかったし。でもお前が来てから全て変わったよ」

「・・・っ」

「俺は誰にも認識されなくて良かったんだよ。第一、この学園のクズ共と仲良しごっこなんてしたくねぇし。地元に帰れば友達だって居るし?大体俺が恥ずかしがり屋とかまじ有り得ねぇ。テメェと関わりたくなかったから喋らなかったの、分かる?あ、今喋ってんのはこれ以上関わりたくねぇからだから。変な勘違いすんなよ?分かったらもう俺に構うな」





言い終えた頃には転校生はポロポロと涙を零していて、俺はそれを見て顔を顰めた後、軽やかな足取りで転校生の横を通り抜けようとした。



・・・ら、





「待、って」
「・・・・なんすか」




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