ギリギリと指先の力を強くしていくと、それに比例して不知火の苦痛に歪む顔が深くなる。
それを指の間から確認したときに気付いたんだけど、こいつさぁ・・・
泣いちゃってんの!
いや、泣くって言っても睫毛が濡れる程度で、零れてはいないんだけどね。
それでも泣いたことには変わりないよな?
唇の片端を吊り上げながら、不知火を掴む手を離してやった。
すると不知火は顔を押さえてぐったりと壁に背を付ける。
そんな不知火の耳元に背伸びをして顔を近付けると、笑いだしたい衝動をグッと押さえて誰にも聞こえないように小さく囁いた。
「泣くほど痛かった?
た、い、が、ちゃん」
「っ、」
わざとらしく名前を呼ぶと、不知火は肩を跳ねさせた。
それを見て堪えきれなくなった俺は、転校生と生徒会の奴らが唖然として見ているのも気にせず、盛大に笑いだした。
「くはははははっ!あ〜おもしれぇ!!ふっ、くはっ!ふはははは!」
突然笑いだした俺に、転校生はビクリと震える。
不知火は、顔を押さえたまま動こうとしない。
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