5
声の主に目をやると、そいつは転校生の前の席の・・・えーと、・・・
「俺は新長凌空。よろしくな!」
―ああ、そうだ。新長凌空だ。新長はクラスでも人気者で親衛隊持ち、つまり美形だ。無駄に爽やかな笑顔を振りまいている割に目は冷めきっているから、多分腹ん中は真っ黒なんじゃねぇかと思ってたりする。
そんな新長が転校生に話し掛けるとは・・・。
「俺は塚本流星!流星って呼んでくれよ!よろしくな、凌空!!」
「ああ、よろしくな!・・・隣の兎丸のことは気にしない方がいいぜ?俺二年間クラス一緒だけど、兎丸が誰かと喋ってる所見たことないし。っていうか声聞いたことないし」
はい、実は俺学園に入学してから一言も喋ってません。これって逆に凄くね?だから新長が俺の名前知ってることにかなり驚いてたりする。
新長から俺の話を聞いた転校生も、そんな面倒くさそうな奴と関わりたくねぇ!なんつって話し掛けて来ないと思ったんだが、どうやら転校生は俺が思っていた以上に馬鹿だったみたいだ。
「誰とも話さないって・・・友達居ないってことか!?」
「うん、居ないと思うよ」
「っ、そんなのって悲しすぎるだろ!!友達が居ないなんて辛すぎる!、そうだ!兎丸、いや悠介!俺が悠介の友達になってやるよ!これで悠介も寂しくないなっ!!」
・・・。
何を言っているんだこいつは。
ちょっと待ってくれ、生憎俺は人語しか理解できないんだ。宇宙人の言葉で話されてもさっぱりなんだ。
え、と・・・。
とりあえず無視でいいよな。
◎