4
嫌な予感ほど当たるものはない、なんてことを地元の友人が言っていたような気がする。
現に今、北川の無駄に整った薄い唇から恐ろしい言葉が飛び出したのだから、アイツの言うこともたまには当たるのかもしれない。
「流星の席は一番後ろの・・・えーと、何だったか?・・・あ、兎丸。兎丸の隣だ」
おい、いくら俺の影が薄いからって自分の教え子の名前くらい覚えておけよ。この学園は成績順でクラス編成を行うからほぼ持ち上がりで、先生とは二年間の付き合いだというのに・・・。いや、まぁ話したことはないが。
なんてことを考えていたら、いつの間にか転校生がすでに席についていた。
その時ちらりと転校生の方を見たのがいけなかったのか、奴は嬉々とした表情で俺に話し掛けてきやがった。
「俺、塚本流星ってんだ!流星って呼んでくれよ!えと、兎丸?だよな!下の名前何て言うんだ?」
「・・・」
ニコニコと笑う転校生に別段何を言うでもなく、俺はまた参考書へと視線を戻した。
だって関わりたくないし。
すると転校生は俺の態度に腹を立てたのか、俺の肩を強く引っ張り顔を近付けてきた。
「おい!人が話し掛けてるのに漫画なんて読むなよな!!あ、もしかして恥ずかしいのか?」
「・・・」
―誰かこいつの思考回路を教えてくれ。どうやったら参考書と漫画を間違える?俺がいつ恥ずかしがった?
心の中の問いかけに誰かが応えてくれるはずもなく、そろそろ肩がいてぇなんて思っていると、まさかの救世主が現れた。
「そいつは兎丸悠介だよ」
「え?」
◎