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平和に暮らせればそれで良かった。


政治家になるという夢を叶える為に勉強し、親元を離れて平和に暮らせるならば、それ以上は何も望まなかった。



この学園に入学しようと思ったのだって県内でも上位の進学校で、男子校と言えども全寮制だったからだ。通っている生徒は金持ちのボンボンばかりだったが、俺の家だって金持ちとまではいかないがそれなりに裕福な方だった。


だから全寮制という閉鎖空間故に同性愛に目覚める者が多数存在するだとか、容姿と家柄重視のキチガイ校だとか、そんなのは全然どうでもよかった。


第一俺はノンケだし、容姿や家柄で人を判断するようなホモ野郎なんかと仲良くしようなんて微塵も思えなかったし。





だから自慢のモブ顔で周囲に紛れ、とにかく目立たないように誰とも話さず、休憩時間はひたすらに勉強に取り組んでいた。

そのお陰かクラスでは俺の存在なんてまるでないように扱われるし、俺自身そのことが苦痛だなんて思うはずもなく、俺は毎日を平和に過ごすことが出来たのだ。





なのに。





二年に進級した最初の登校日に奴はやって来た。





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