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「本題と言っても実はこれといって話すことはない」
「・・・はあ?!んだよそれ、ふざけんじゃねえ!」


威圧感たっぷりに足を組み直して一体何を言い出すかと思えば、話すことがないだと?俺をなめるのも大概にしろよ。


「まあ落ち着け。俺は一度お前とゆっくり話して見たかったんだ」
「は?制裁されてた俺を助けなかったくせに?」


別に助けて欲しかった訳じゃねえけど、防犯カメラでその姿を確認しているはずなのに、助けずに放置っていうのは気に食わねえ。
たしかに俺は自分で対処できたし、助けだって必要なかったけどよぉ、だからって風紀の連中が見過ごしていいかっていうとそうじゃねえだろ。


「それについては謝ろう。すまなかった。・・・・正直なところ、我々風紀は兎丸を保護しようという気は一切なかった」
「・・・・へえ」
「兎丸が風紀の助けもいらないほどに強かったというのもあるが、それだけじゃない。いくら制裁に対処する力があってもそれを見過ごす訳にはいかないからな」
「じゃあ何でだよ」

「お前自分の置かれている状況にも関わらず、まるで自分には関係ないかのような目をしていた。誰かに助けを乞うでもなく、その状況から抜け出そうと必死に藻掻くこともなく、そんな奴を助けたいなんて誰が思う」


・・・威吹鬼の言うはもっともだと俺は思う。
俺がもし風紀なら、こっちが必死に助けてやろうとしている相手が何の努力もなく、自分は何も関係ありませーん、みたいな態度とってやがったらしばきたくなるしな。

でも、


「だからって風紀としての仕事を放棄していいのかよ?」
「ああ、そこなんだ。いくら気に入らない相手でも俺達風紀は被害者を保護しなければならない。だから毎日放課後に靴箱の掃除をしていただろう」
「あー・・・だから靴箱だけは毎日綺麗だったのか」


制裁現場には現れないのに何で靴箱だけは、と思っていたらそういうことだったのか。



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