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「みっともない所を見せてすまない。まさか風紀から逃げられると思うような馬鹿がいるなんてな」


俺の目の前のソファーに深々と腰を下し、亘理に用意された緑茶を飲みながら、風紀委員会の長である威吹鬼千景はそう言った。

すまない、とか言いながらも全くもって誠意が伝わってこないのは何故だろうか。


そういえば、カチューシャ男の手によって伸された赤髪は、両手両足を縛られて隣の部屋へと投げ込まれていたが、アイツはこの後どう始末されることやら・・・。
他の連中は一先ず名前と学年、クラスを聞かれて解放されたらしいけど。

まあそんな事はどうでもよくてだな。


「俺に一体何の用があるって言うんだ」


とにかく俺は面倒事は避けて通りたい訳で、つまりさっさと本題済ませて帰らせろって話よ。

優雅に緑茶を啜っている威吹鬼を睨みながらそう言うと、威吹鬼は持っていた緑茶をテーブルに置いて俺を見た。


「本題の前に自己紹介をさせてくれないか」
「・・・・はあ?」


眼鏡の奥に潜ませた鋭い瞳を細め何を言うかと思いきや・・・・・何を言い出すんだこいつは。


「別にテメェの紹介とかいらねーから」
「まあ、とりあえず聞け」


いや、お前が俺の話を聞けよ。




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