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「いい加減離せよ。俺が処女だろうが非処女だろうが副会長には関係ねぇだろうが。つうかケツ犯されたくらいで騒ぎすぎなんだよ」


ほんの少しだけ高い位置にある副会長の目を見つめながらそう言うと、副会長の目がスッ、と細くなった。
たったそれだけの行為なのに俺の背中の皮膚がぞわりと蠢き、何だか言い様のない嫌な予感に包まれる。

ああ、どうやら俺は知らず知らずの内に副会長の地雷を踏んでしまったようだ。


ぐいっ、と腰に回していた腕に力を込められて、副会長と俺との距離はほんの数センチ。ちょっと動いただけで唇が触れ合ってしまいそうだ。
そんな距離のまま副会長は話しだす。


「確かに悠介君が処女だろうと非処女だろうと僕には関係ありません。が、悠介君が処女ではないという事実が僕にとっては物凄く腹立たしいことなんですよね」
「知らねぇよ」
「まぁ、そうでしょうね。でも僕は気に食わないんですよ。・・・ここに僕以外のモノが入ってしまったことが」
「っ!?」


ぐに、と不意にスラックス越しに肛門に指を突き立てられ、油断していた分情けなくもビクリと体が反応してしまった。
そんな俺の反応を見た副会長は、いつもの胡散臭い笑みとは違う、妖艶を具現化したかのような笑みをうっすらと浮かべた。


「悠介君はケツ犯されたくらい、何ともないんですよね?」



・・・こうなるとは、思ったけどな。



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