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余りの衝撃で馬鹿みたいに口を開けながら舞台を見つめていると、やけにニコニコとした副会長と目が合った。
あの野郎・・・、こうなることを知ってやがったな?
せっかく逃げ切ってペナルティ免除になったかと思ったのに、手錠壊した位でケチくせぇな。
大体本館二階のトイレなんて無駄に三ヶ所あるし、面倒くせぇことこの上ねぇ。まぁ俺のクラスと同じ階なだけマシだが。
そんなことを考えてるうちに新歓はすっかり終了しており、疲れきった顔の生徒たちが次々に講堂から退場し始めていた。
わざわざこの人混みの中を通るのも面倒だったから近くにあった椅子に腰を降ろしていると、後ろから頭を軽く叩かれた。
「っ、・・・何だテメェか」
「担任に向かってテメェとは何だテメェとは」
後ろから俺を叩いた人物、それはどこからどう見てもホストにしか見えねぇ北川だった。
・・・改めて見るとこいつホントに教師には見えねぇよな。ほとんど金に近いギッシギシに傷んだ茶髪をワックスで派手に盛り、黒のワイシャツに白のスーツときたもんだ。
ホスト以外の何者でもねぇだろ。
「つうかテメェ何の用だよ」
「可愛い生徒が鬼ごっこで生き残ったっていうもんだから祝いに来てやったんだよ」
「いらん、帰れ」
「・・・お前ホント可愛くねぇな」
余計なお世話だ。
◎