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『ごー!よん!さん!にー!いち!』
『『ぜろー!!』』
『ターイムアーップ!これにて鬼ごっこ終了でーす』
『生き残った人も捕まった人もお疲れ様ー!速やかに講堂まで戻ってきてね!』


ノイズ混じりの放送が流れ、俺は走っていた足をピタリと止める。
それによって副会長がつんのめっていたが、まぁ無視で。

それにしても、やっと解放される・・・!


「あー疲れた。マジで疲れた!二度とやりたくねぇな」
「とか言いつつ全く息が乱れてませんけどね・・・」
「精神的に疲れたんだよ。副会長が体力なさすぎ」
「これでも平均より上なんですけどね」


副会長とそんな話をしながら講堂へ向かうと、そこにはすでにほとんどの生徒が集まっていた。
どこに視線をやっても皆げっそりとした顔付きをしていて、普段威張りくさってる連中の見れない表情にくつりと喉を震わせる。


「じゃあ僕は生徒会の方に行きますので」
「おーじゃあな。もう会うことはねぇだろうが、今日は結構楽しかったぜ」


今日楽しかったというのは嘘ではない。鬼ごっこ自体は疲れたしもう二度とやりたくねぇが、副会長とは誤解も溶けたし結構普通に喋れたし。
俺の言葉に副会長はニ三度瞬いたあと、にっこりと微笑んだ。


「僕も楽しかったですよ。きっと近いうちにまた会いますが、その時はよろしくお願いしますね、悠介君」
「・・・は?」


近いうちに会う、だと?
意味深な言葉を残してくるりと背中を向ける副会長に思わず手を伸ばすが、副会長の姿はどんどんと人の波に消えてしまい掴むことは出来なかった。

近いうちに会うっていうのはどういうことだ?つうか何で下の名前で呼んで・・・。


副会長の残した謎に気を取られ、俺は肝心なことを忘れていたんだ。
大事な大事な、新入生歓迎会のルールを・・・。




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