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金属が壊れる荒々しい音と共に、右手にほんの少しの痛みを感じる。
チラリと右の手の平に視線をやれば、案の定そこからは赤い鮮血が流れ出ていた。


「オモチャとは言え、手錠を素手で壊すモンじゃねぇなぁ・・・」


そう言いながらプラプラと右手を振っていると、ゴリラは信じられないものを見るような目で俺の破壊した手錠を凝視していた。

さらには副会長まで。

副会長の間抜け面に吹き出しそうになるのを抑えつつ、俺は未だに唖然としているゴリラの元へ足を進める。


「これで俺も両手が使えるな」
「っ!!」


ゴリラは慌てて俺から距離を取ろうとしたが、そんなこと俺が許す訳ねぇだろ?
ゴリラが後退るよりも早くゴリラの肩をガシリと掴み、ゆっくりと顔を近付ける。


「なぁ、俺を捕まえる気だった?テメェごときが、この俺を?」
「ひっ・・・」
「ハッ!笑かしてくれるよなぁ?あんだけ簡単にやられたくせに、一丁前に俺を捕まえようだなんて・・・・

お仕置きが必要みてぇだな」


ゴリラの耳元で一際低い声で囁けば、ゴリラは耳を押さえてヘタリと床に座り込んだ。

俺はその後ろで立ちすくんでるゴリラの片割れに目を向けると、ゴリラは情けなく肩を震わせた。
そんなゴリラに俺はにこりと微笑みながらこう言った。



「見逃して、くれるよな?」




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