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俺を指差してワナワナと体を震わせるゴリラを横目に、狭っ苦しいロッカーからずるりと這い出る。


「ひぃぃっ!」


たったそれだけの行為でゴリラは情けない声を上げて後ろへ後退った。
・・・何でそんな怯えられなきゃならねぇのか。

ゴリラ共の態度に首を傾げていると、副会長が体に付いた埃を払いながら言った。


「・・・一体どういう関係なんですか」
「あ?知らねぇ。こんなゴリラみてぇな知り合い俺には居ねぇし」


吐き捨てるようにそう言えば、ゴリラの片割れが突然声を荒げだした。


「し、知らねぇだとー!?あんな強烈なラリアット食らわしたくせに忘れやがったなー!!あのあと数日は息するのが辛いくらい肺にダメージくらったんだぞ!!」
「おおお俺だってお前にジャーマンスープレックスきめられてから数日間でっけえタンコブに悩まされたんだからな!!!」



ギャアギャアと喚くゴリラ二人を見つめながら、そう言えばそんなこともあったな、と思い出す。

あれは確か俺が生徒会長の親衛隊に呼び出しくらってた時のこと(第一章参照)。あの時のゴリラとこんな所で再開するなんて思いもしなかったな。



「あの時のゴリラちゃんだろ?思い出してやったんだから有り難く思えよ」
「なっ!?」
「舐めやがって・・・!い、言っておくがこっちは両手が使えるんだぞ!」


そう言って拳を構えるゴリラを見て、俺はくつりと喉を震わせる。



「テメェこそ、舐めてんじゃねえぞ・・・!」



――バキッ




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