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「うお!何お前、動悸やばくねぇか」


いきなり動悸が激しくなるもんだから、うっかりでけぇ声出ちまった。
それにしても何なんだ突然。耳が心臓のすぐ近くにあるもんだから鼓動の大きさなんてバレまくってんぞ。とりあえずうっせぇからどうにかしてくれ。


「おーい、うっせぇから止めるか小さくするかどっちかにしろ」
「・・・・・い?」
「はあ?聞こえねー」


鼓動の激しさも相まってか、副会長の声は余りにも小さかった。思わず顔を顰めながら聞き返すと、副会長はさっきよりは大きいが、それでも聞き取れるか取れないか微妙な声量でもう一度言った。



「僕の顔が、胡散臭い・・・?」


頭の上で小さく呟かれた言葉は、馬鹿みてぇに情けなく震えていた。
・・・何だって言うんだ、この男は。


「顔っつうか、笑った顔がだけどな。胡散臭いに決まってんだろ、んな見本みてぇな作り笑い」
「つくりわらい・・・?」
「あ?ちげぇの?じゃあお前素で胡散臭いのかよ。気の毒だな、同情はしねぇけど」


素で胡散臭い顔って残念以外の何ものでもねぇな。これが仲の良い連れとかだったら多少なりとも同情するんだが、副会長は喋り方といい物腰といい、全体的に胡散臭いから同情のしようがねぇ。

頭ん中でそんな事を考えていると、副会長はまたもや消えそうな小さな声で呟いた。


「貴方は・・・・」



何?
そう言って副会長に尋ねようとしたとき、来てほしくなかった瞬間がやってきてしまった。


「誰か居ますかー居たら直ちに出てきなさーい」



・・・ついにこの教室にもきやがったか。ああ、メンドクセェ!

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