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「どうして僕がこんなところに・・・!」
「馬鹿、でけぇ声出すな」


クソ狭いロッカーの中で、副会長は思いっきり眉間にシワを寄せてそう言った。

・・・マジで有り得ねぇくらい狭いんだが。
何つうか今の状態を言葉で表すなら、副会長の足の間に体があって、顔面を副会長の胸に押しつけて副会長の顎が俺の頭に乗ってる感じ。
言っておくが常に俺より副会長が頭一個分でかい訳ではなく、俺が少しロッカーに凭れてずり下がっているだけだぞ。

まぁ何だ、とりあえずめちゃくちゃ狭い。そして熱い。


「・・・・やっぱ新歓休めばよかった」
「休んだら留年ですよ」
「んなもん知ってるよ馬鹿。だからこうしてクソ狭いロッカーん中でテメェと密着してんじゃねぇか」
「ふんっ、僕とこんなに密着できて光栄だと思って下さい」
「は?むしろ今すぐにでも離れてぇから安心しろ。つぅかテメェが喋る度に頭に震動くるから喋んな」
「貴方が話し掛けてきたんでしょうが!」
「でけぇ声出すなっつったろ。大体さっきのは独り言だ、この勘違い野郎」


小さい声でボソボソと言い合う様は傍から見たらぜってぇ馬鹿みたいだと思う。
だが俺は引かねぇ。
だって何かこいつ気に食わねぇし。むかつくし。

大体何でこんな男が人気なんだ。ただ顔と家柄がいいだけだろ。
顔と家柄を除けたらただの嘘くせえ笑顔貼りつけた腹黒野郎なのにな。


「皆この笑顔に騙されたのか、可哀相にな」
「は?」
「何でこんな胡散臭い笑顔に惹かれるのか・・・わからん」


うーん、と頭を悩ませると、押しあてた胸元から一際大きな鼓動が聞こえた。



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