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「っ、げほ!けふ・・・っは」


慌てて手を離せば、副会長は咳き込みながら必死になって酸素を求めた。
その姿を見ながら俺はさすがに申し訳なくなって背中を擦る。


「あー、何か・・・わりぃな」
「はっ、は・・・死ぬかと思いました・・・ゲホッ」
「いやもうホントに悪い。ちょっと周り見えなくなっちまって、つい」


まさか自分でもここまでカッとなるとは思わなかった。
・・・それだけ転校生のことが嫌いなんだろうが、さすがに副会長の生死を危険に曝すのは駄目だろ、俺。


「つい、で殺されたら堪ったもんじゃないですよ。ご丁寧に鼻まで塞ぎますし・・・」
「・・・悪かったよ」


漸く息の落ち着いた副会長が言ったため息混じりの言葉に、俺は後頭部を乱暴に掻きながら謝った。

いや、うん、さすがの俺でも自分の非は認めるし、ちゃんと謝るぜ?


俺の謝罪を受けた副会長は眉間にほんの少しだけ皺を寄せながら言った。



「・・・とりあえず貴方がいかに流星が嫌いかは伝わりました」


思わぬ言葉に俺はパチパチと瞳を瞬かせる。
やっと、やっと誤解が解けたのか!?

誤解が解けたということが余りにも嬉しくて、俺は勢いよく副会長の手を取って握手でもしようかと思った瞬間。



「教室に隠れてる奴が居るかもしれないからちゃんと見ておこうぜ」
「りょーかい」

廊下から聞こえた声に、俺は咄嗟に辺りを見渡した。
生憎この教室は全く使われていないせいか机類が極端にすくねぇ。

クソッ、捕まるのだけはぜってぇ嫌だ!


ギリ、と奥歯を噛みしめて教室の扉を睨み付けると、扉のすぐそばに掃除用具入れのロッカーが置いてあった。
・・・かなり危険だが、ここでじっとしてるよりかはずっとマシだ。



そうと決まれば即行動。
俺は座り込んでいる副会長を無理矢理立たせ、引き摺るようにしてロッカーへと向かった。



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