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出口に立っていた北川に手錠を渡され、通り過ぎざまに「ドンマイ」と呟かれた。
そういう言葉を掛けられると余計ムカつくんだよ!


「じゃあ手錠着けますから」
「うす」

カシャン、と小さな音を立てて着けられた手錠は、手首のところにフワフワのファーみてぇなのが付いて痛くないようになっていた。それにしても何故ピンク。

こんな馬鹿みてぇな手錠で繋がれてなけりゃあいけないなんて、マジで憂鬱すぎる。
しかも二の腕がたまに当たるくらい近距離だし、何より周りがまじうっせぇ。

「茂森様に触るな」
「平凡のくせに」
「平凡が移る」

などなど。
俺だって好きで触ってんじゃねぇし、出来ることならペアだって代わってやりてぇわ!
大体平凡は移んねぇよ。




講堂から出て誰も居ない一階の廊下を歩いていると、不意に副会長がぼそりと呟いた。

「・・・流星が、笑わないんです」
「は?」

一体何をいきなり言いだすのかと副会長を見上げれば、副会長からはいつもの笑みは消えていて、俺を射ぬくような目で睨み付けていた。
ああ、またきっと何か言われるんだろうな。


「あの日貴方が流星にあんな事を言ってから、流星は笑わなくなったんです。いえ、笑うのは笑うのですが、無理矢理作ったような悲しい笑みを浮かべるのです。それもこれも全て貴方の所為です。よくも、よくも流星から笑顔を奪ってくれましたね?大体親衛隊からの制裁も気にも止めずこの学園から去ろうとしないなんて、貴方の神経どうかしてるんじゃないですか?早く出ていった方が身のためだと思うんですけどねぇ。ああ本当はこんな近くに居るのも嫌だと言うのに、クソ会長め・・・」


・・・な、なげぇ!



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