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「それではこれより、新入生歓迎会を始めたいと思います。」


ああ、ついに始まってしまった・・・。
やけに油っぽい校長が一言そう言うと、講堂に集まっている生徒達はざわざわとざわめきだつ。

ご察しの通り、新入生歓迎会ですよ。

もう本当に行きたくなかった。マジで休もうかと思った。なのに何でか知らねぇけど朝っぱらから北川が部屋にやってきて「休んだら留年」という恐ろしい言葉を吐いてさっさと出て行きやがった。
布団の中でうとうとしていた俺はその一言でスッカリ目が覚めたわ。

朝の出来事をボンヤリと思い浮かべながら欠伸を噛み殺していると、突然講堂内が物凄い悲鳴の渦に巻き込まれた。


「きゃぁぁぁああああああぁあ!!!」
「っ!?」


慌てて両手で耳を押さえるも、全校生徒の悲鳴の前じゃそんなモン何の意味もねぇ。キンキンと痛む耳に顔を顰めつつも、俺は舞台の上に視線を向けた。

・・・・まぁそこには生徒会が居るわけで。


「城前様ぁぁああぁあぁああああっ!!」
「ああ!茂森様お美しい・・・!」
「響さまー!奏さまー!どっちがどっちか解からないけどステキぃ!!」
「下塚様ぁ!抱いてください!!」


なんというカオス。
同じ男にこれだけ騒げるのはある意味感動だな、マジで。俺だったら無理。気持ち悪いし。

ていうかそろそろ耳限界なんだが。



「・・・黙れ」


マイクを通して響く心地良いテノール。
会長のたった一言で講堂内は、さっきまでの騒ぎが嘘のように静まり返った。

シン、とした空気を肌で感じていると、会長は面倒くさそうに話しだした。


「これより新入生歓迎会を行う。余り羽目を外しすぎないように。今から茂森がルール説明するからよく聞いておけ、以上だ」


会長はそれだけ言うと、さっさと舞台の裾へ消えてしまった。
・・・会長が最後まで場に居なくてどうすんだよって話だよなァ。





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