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さっさと話せと言わんばかりに睨み付けると、北川は一度コーヒーを啜ってから話しだした。


「・・・今まで悪かった」
「は?」


真剣な眼差しで俺を見つめながら言った北川の言葉に、俺はアホみたいに口を開いたまま北川を見つめることしか出来なかった。

何でコイツが謝ってんの?


訳が分からず北川を見るも、北川は俺の視線は気にせず話し続ける。


「兎丸が入学したての頃は、俺もそれなりに気に掛けてたんだぜ?高校からの外部生でさらに特待生だしな。でもお前は周りの連中なんて全く気にする素振りも見せねぇし、次第に周りも俺も、兎丸の存在がなかったみてぇに過ごすようになっちまった」
「・・・まぁ影薄いしな」

そこは否定しねぇ。
つぅか自分から影薄くしてたし。


「今思えば担任としても人間としても、最低だよな・・・」


そう言ってくしゃりと前髪を掻いた北川に、俺はぶっちゃけ気にしてねぇってか興味ねぇって言おうとしたがやっぱ止めた。

さすがに空気読むぜ?


「なのに兎丸は間違った道を歩もうとしていた俺を叱ってくれた。・・・この歳であんな風に怒られたのは初めてだ」
「だろうな」
「でも感謝してるんだぜ?もう少しで大事なモン無くすとこだった」


有り難う、今まで悪かった

そう言って頭を下げる北川を見つめながら、俺は冷めたコーヒーを飲み干してから言った。




「話なげぇ」


空気は読めるけどあえて読まねぇ。

それが俺だろ?




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