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「新入生歓迎会のことだったか。・・・今年の新歓は鬼ごっこを行うそうだ」


片手をスラックスのポケットに突っ込み、もう片方の手で書類を持ってダルそうに言う北川にまたもクラス中が唖然とした。
何故なら去年の新歓と言えば立食パーティーや人気バンドによる生演奏など、いかにも金掛かってます!という風な大掛りな物だったからだ。多分それは俺が入学する前からだったと思う。
だって新歓の内容を伝えられた時全く動じてなかったしな。俺なんて驚きすぎて頭が痛くなったぞ。

それが今年は、鬼ごっこ?

・・・一体生徒会は何を考えているんだ。ここの学校の連中が鬼ごっこなんてすると思うかよ。
ほら、現に今だって前の席の奴らがグチグチ言ってんじゃねぇか。


今年の新歓は終わったな、なんて思いながら窓に目を向けようとすると、北川が少し大きめな声を上げた。

「あーちなみに、鬼はサッカー部とバスケ部と陸上部と野球部の部員、総勢約150人だ。それ以外の人は逃げる方な」
「え、でも全校生徒合わせて1000人は居るのに明らかに不利じゃないですか・・・?」

北川の言葉に委員長が口を挟む。確かにいくら運動部と言えども、さすがに150人で850人を捕まえるのは無謀すぎる。

他の生徒もそう思ったのか訝しげに北川を見つめると、北川は欠伸を噛み殺しながら口を開いた。


「それがだな、逃げる方は二人一組になって逃げて貰う。ペアになる人は今から引くクジで学年関係なくなるが、決まった後の変更は出来ないことになっている。なお、ペアの二人は一日離れないよう手錠で括られることになってるからなー。んじゃ出席番号順にクジ引きにこい」



北川の言葉に「生徒会の皆様とペアになれるかも!」だとか騒いでいる生徒達を尻目に、俺は当日への不安でいっぱいだった。
・・・生徒会はマジで何考えてやがんだ。




引いたクジは259番。
じごく、だなんて不吉すぎるんじゃねぇか?



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