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ギチリと強く握られた手の平が目に入る。それが怒りなのか、はたまた別の物なのかは分からないが、俺は喋るのを止める気は毛頭ねぇ。


「何が言いたい、ねぇ・・・。本当は分かってんじゃねぇの?今の自分の現状」
「別に今も昔も変わんねぇよ!俺はやりたいようにやる、ただそれだけだ」
「ふぅん?」
「・・・何だよ、何か言いたいことでもあんのかよ」


スラックスのポケットに手を突っ込んだまま睨みを効かせてくる北川に、俺はにこりと微笑んだ。
・・・いい大人が甘えた事言ってんじゃねぇよ。


「たしかにテメェは転校生が来る前から俺様だし、まさに唯我独尊を具現化したような男だったけどな・・・ホントにそれだけか?まぁ俺はテメェと喋ったことねぇからよ。こういう時はテメェのことを良く知ってる奴に聞くのが一番だよな?」
「あ?誰だよ・・・」


訝しげに眉を寄せる北川に、俺は小さく溜め息を吐いた。


「すぐ傍に居んだろ。・・・このクラスで何年やってんだテメェ」


俺は高校からの入学だから一年しかこのクラスでやってきてねぇが、成績順でクラス編成を行ってる学園なだけあって中学の頃からほぼ持ち上がりだ。もちろん担任もそれに伴ってるから、こいつらは今んとこ四年の付き合いってとこだな。

四年も一緒に過ごしてんだ。さぞかし良いところも悪いところも詳しかろうよ。



「つぅわけでテメェら。今のこいつと昔のこいつの違いでも何でもいい。何か話せや」


そう言って今までの担任とのやり取りを不安そうに眺めていたクラスの連中にそう言えば、連中は驚いたように目を見開いた。
まさか会話の矛先が自分達に向くとは思わなかったんだろうな。



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