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「くはっ、はははは!馬鹿だ馬鹿だとは思ってたが、まさかここまで堕ちていたとは思わなかったぜ。ふははっ」


腹を抱えて笑いだす俺を、北川はもちろんのこと、クラスの奴らまで目が零れ落ちそうなほど見開いて凝視してきた。

凌空だけは何故か頬を赤らめて見つめていたが、気持ち悪いので無視。


「と、まる・・・?」

訳が分からない、と言った表情で吐き出した声は、情けないほどに驚愕で濡れていた。
まぁ一年間一言も喋らなかった奴がいきなり笑いだしたらひびるよな、普通。

止まらない笑いを押し殺しながら、俺は瞼に浮かんだ涙を手の甲で乱暴に拭った。


「あー、笑った笑った。何か最近面白いことばっかで腹割れそう」
「おま、しゃべ・・・!?」
「あ?何?俺だって人間だぜ、喋るときは喋るってぇの。むかつくときは怒るし悲しいときは泣く。もちろん今みてぇに担任の落ちぶれた姿を見たときは腹抱えて笑うしな」
「なっ・・・!?」

何の悪びれもなく吐き出された言葉に、北川は驚いたように目を向ける。

それでも俺は、喋るのを止めない。


「俺に対してのお前の認識なんて、ほんと薄っぺらい紙みてぇなもんだったと俺は思うのよ。まぁ俺も人のこと言えねぇけどな?それでもお前は一応俺の担任だし、お前の授業は他の先生に比べてそこそこ面白いから結構好きだったんだぜ。・・・ま、生徒一人に現つを抜かして本来の自分のやらなければならねぇ事を忘れてるような奴には、全く興味はねぇがな」
「っ、何が言いてぇ・・・」




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