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「おら、席着け〜。出席取るぞ」


教室内が奇妙な空気に包まれていた中、担任の北川が眠たそうに欠伸をしながら入ってきた。
そのことで不穏だった教室の空気は少し和らぎ、生徒達は口々に北川に向けて「抱いて」だのなんだの恐ろしいことを叫んでいる。

さっきまでの静けさは何だったんだ。


「・・・おい、流星は?」

賑やかだった教室は北川の一言で一気に静けさが走る。うん、まぁさっきの俺の話の流れ的に今転校生の話すんのは駄目だよな。マジ北川空気読め。
つっても分かんねぇか。


「おい、新長。流星はどこに行った」
「さぁ?多分生徒会室じゃないですかねー」


北川に問い掛けられた凌空はキラリと爽やかな笑みを浮かべてそう答えた。その答えに北川は顔を歪め・・・

「チッ、冷めた・・・。おい、委員長ー後よろしく」


そう言って北川は気だるそうに教室から出ていこうとする。

いやいや、さすがにそれは駄目だろう。常識的に考えてそれは駄目だろう。そんなことも分からなくなるくらい転校生に惚れているのか?・・・恋は盲目とは言うが、度が過ぎれば憐れにしか見えねぇな。

立ち去ろうとすり北川の背中を見ながらそう思っていると、黒髪に眼鏡の優等生っぽい奴が派手な音を立てて椅子から立ち上がった。


「先生、困ります!今日は新入生歓迎会について話さなければならないのでしょう!?」
「あ?そんなもんお前がやっとけよ」
「っ、我々生徒は歓迎会について何も聞いていないというのは先生もご存じでしょう!」

声を荒げる眼鏡君に北川は煩わしそうに眉を寄せると、形の良い唇から有り得ねぇ言葉を紡ぎだした。



「知らねぇよ」




――腐ってやがる。

北川の言葉を聞いた俺は、あまりの馬鹿らしさに声を上げて笑いだした。



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