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「・・・つぅかよ、アイツはいいのかよ」
「あいつ?・・・ああ、流星のこと?」
「あーそうそう、それそれ」


小学校の頃から俺のこと好きだったくせに、あのモジャモジャに懐きやがったのは何だかいけ好かねぇ。別に俺もコイツのことが好きとかそんなんじゃねぇから勘違いした奴ぶっ殺すぞ。

ただ何となく、だ。


「流星はね、ちょっと出しにさせてもらったんだ」
「は?」


訳が分からん、と凌空の顔を見ると、凌空はいつも通りの笑顔を浮かべながら言った。


「俺、高校に上がって悠くんの名前を発見して、凄い嬉しかったの。でも悠くんは小学校の頃と全然変わってて、喋らないし影薄いし、本当に悠くんかなって疑問に思ったわけ。本人に聞けば早い話なんだけど、俺一応自分のこと理解してるつもりだから、もし悠くんじゃなかったらかなり迷惑かけると思ったんだ」

・・・こういう所を見ると、凌空も変わってねぇなって思う。
アイツはクラスの奴らから虐められてたけど、誰よりも他人に気を使う奴だった。

「それで同じクラスなのを良いことに、ずっと悠くんのこと見てたんだ。でもやっぱり悠くんは喋らないし、俺の知ってる悠くんはめちゃくちゃ口悪くて大魔王みたいな人だったから、やっぱり違うのかなって思ってた」
「・・・大魔王?」
「あ」


しまった、と言った表情でベロを出す凌空の頭を叩いて、俺は顎で話の続きを催促した。


「そんなときに流星が転校してきたんだ。ほら、流星って絶対悠くんの嫌いなタイプでしょ?だから俺が流星と仲良くなって、悠くんにちょっかい出すように仕向けようとしたんだ。まぁ俺が何もしなくても自分で悠くんに攻めて行ったけどね」
「・・・ちょっかい出させる気だったのかよ」
「うん、ごめんな?それで今日、悠くんってば遂に切れちゃったでしょ?俺それ見て泣きそうになったよ。あー俺の知ってる悠くんだーって」


そう言って椅子から身を乗り出して俺に抱き着いてこようとするのを片手で止めながら、俺は何だか面倒なことになったなぁとため息を吐いた。



それでも、にこにこと笑いながら俺に抱き着こうとする凌空を見て、意外と嫌じゃねぇのは気の迷いだろうな。



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