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髪を引っ張られながらも、伸介は俺の問い掛けに笑顔で答えだした。

「俺は家の都合で中学からこの学園に入ったからね」
「ふぅん。で、俺の記憶にてめぇの姿は微塵も見当たらねぇんだけど?」


お前誰なの?
そう言って掴んでいた髪を放せば、伸介は掴まれていた所を擦り、困ったように眉を下げた。


「ホントに覚えてない?ほら、給食に蛙入れられて泣いてた俺を助けてくれたじゃん!虐めてた子をぼこぼこにして親呼ばれてたよね」

あの時はホントごめんね?そう言って爽やかに笑う表情に、俺は何処か見覚えがあった。

まさか、


「・・・・・・凌空?」
「!!!ゆ、悠くん思い出してくれた!?」


そう言ってまた抱き付こうとする伸介を片手で止め、俺はもう片方の手で痛むこめかみを押さえた。

いやいや、まさかな。

まさかこの爽やかイケメン野郎が小学校のとき虐められていた凌空だなんてそんな訳ねぇだろ。だって凌空は、凌空は・・・・


「超肥満体型だっただろ・・・」
「サッカー始めたら自然と痩せたんだ。ていうかやっぱり思い出してくれたんだ!そうだよ、俺だよ!デブで運動音痴でクラスの皆から虐められてた新長凌空だよ!」



・・・・うそ、だろ?




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