「菊の花言葉、特に白菊の花言葉は真実とか誠実なんだぜ。・・・テメェは多分菊を死んだ人に送る花だと勘違いしたんだろうが、残念ながらちげぇんだよ。重要なのは花じゃなくて色なわけ。白っつぅのは昔から悲しみを表されて、まぁ要するに白けりゃいいってこと。だから菊自体には別に意味はねぇの。よって俺も別に悲しくねぇ、分かる?」
手に持った菊をリーダーらしき奴の前でプラプラと揺らしながら言い切ると、そいつは顔を真っ赤にして黙り込んだ。
俺はそれを見てクツリと笑うと、そいつに向かって一言呟いた。
「無知なテメェにはこの花を贈ろう、西洋おだまきという花をな」
「は、はあ?」
少し怯えの交じった表情で、なお強気な態度を取るそいつにニッコリと笑いかけた。
「花言葉は、愚者」
その言葉と共に持っていた菊をソイツの髪にぷすりと差した。
栗色の髪に真っ白な菊がよく映える。
唖然とした表情のソイツを置いて、俺は教卓の前へと向かった。
クラス中の視線を浴びながら、俺はゆっくりと口を開いた。
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