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「いや、もう一回殴られたら何か分かるかと思って・・・」
「分かるかよ!じゃあ聞くが、俺に殴られて何か分かったか?」



腕を組みながら呆れた声でそう言うと、太雅は真剣な顔でこう言った。



「お前の拳は今まで会った誰よりも気持ちがいい」
「あぁもう分かった、お前馬鹿だわ」


これ以上話しても多分無駄だと思った俺は、何で馬鹿呼ばわりされたのかと困惑する太雅を置いて部屋を出た。思いの外話が長かったため早くしないと学校に遅れてしまう。

後ろで太雅が何か叫んでるが、まぁどうせ大したことじゃねえだろ。


俺は適当に身支度を済ませてから、颯爽と教室へと向かったのだった。



・・・・朝飯?
俺、朝は食えねぇタイプだから。




*





思ってたより早く着いた俺は、いつも見ていることながら自分の下駄箱の悲惨さに顔を顰めた。


「くっせぇ・・・」


もうこれは下駄箱っつぅよりかはゴミ箱だな。ちり紙に濡れた雑巾、虫の死骸や使用済みコンドームまで。まぁ毎日靴は持ち帰ってるから無事なんだが、実はこの悲惨さを毎日写メとるのがマイブームだったりする。

・・・だって考えてみ?


この学園ってお坊ちゃんの集まりだぜ?そんな奴らが俺の下駄箱に汚ぇもん詰め込む姿想像してみろ。

すげぇ頑張り屋さんだろ。


だから俺はせっかくの努力の結晶をこうして写真に収めてやってるわけだ。律儀にも明日には中身が今日と違ってるし、日々変わる下駄箱を俺は芸術だと思ってる。


二日続けて同じ中身だった時は腹立ったけどな。





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