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「黙り決め込んでんじゃねぇぞコラ。さっさと口開かねぇとテメェの痴態全校生徒にバラすぞ」


苦痛(というか不知火にとっては快楽)に顔を歪める不知火の耳元でそう言えば、不知火は顔を青ざめた。

いくら不知火でもさすがにそれはやべぇってか。



「・・・流星のことは、たしかに好き・・・だった」
「だった?」


恐る恐ると口を開いた不知火の言葉に俺は首を傾ける。

続きを催促するように髪を強く引っ張れば、不知火は小さく呻き声を上げて、また話しだした。



「流星は、初めて俺を、俺自身を見てくれた奴だった。家柄とか見てくれとか、そんなもん全部抜きにした俺を。そんな流星を好きにならねぇはずがなかった」
「へー」
「純粋で、明るくて、思いやりのある流星と共に過ごしていく内に、流星への思いは強くなるばかりだった。それなのに流星はお前を、・・・悠介のことを見てばかりだった」
「・・・ちょっと待て」
「あ?」



髪を掴まれたまま過去を思い浮かべながら話す不知火に、「こいつ髪掴まれてるとこはスルーなんだ」とか思っていると、思いがけない単語が飛び出してきて思わず話を中断させてしまった。

それもそのはず、



「何で名前呼びしてんの」

つぅか名前知ってたんだな。


まさか不知火に名字ならまだしも、名前を呼ばれるなんて思いもしなかったからすっげぇひびった。
いや、だって俺だぜ?自分でも存在感の無さは自覚してるつもりだし、しかも不知火って他人に興味なさそうだし?その不知火が俺の名前を知ってて、さらに呼び捨てってとこに心底驚いたわけ。

そのことを伝えると不知火は気まずそうに頬を掻き、ポツリと呟いた。




「だって名字知らねぇし・・・」
「あ?じゃあ何で名前知ってんの」
「流星がよく悠介悠介言ってたから・・・」
「あぁ・・・」
「・・・・」
「・・・・」




え、何この空気。




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